专利摘要:
この発明の実施形態は、神経再生ペプチド(NRP)と呼ばれるペプチドの合成化合物(NRP類似体)を含む。天然ペプチド配列中のアミノ酸を置換すること、アミノ酸を化学的に修飾すること、アミノ酸を合成成分と交換すること、βターンを安定化すること、末端グリシン残基のアセチル化又は環化によってNRP類似体を作る。NRP類似体を用いて、神経細胞の変性に関与する種々の状態を治療することができ、神経系の障害を治療することを包含する。神経系の障害としては、末梢神経障害、多発性硬化症、糖尿病性末梢神経障害、神経毒誘発神経変性、及び筋萎縮性側索硬化症が挙げられる。
公开号:JP2011512322A
申请号:JP2010529981
申请日:2008-10-17
公开日:2011-04-21
发明作者:フランク ジーク;ポール;ウィリアム;リチャード ハリス;マーガレット;アン ブリンブル
申请人:フランク ジーク;ニューレン ファーマシューティカルズ リミテッド;ポール ウィリアム リチャード ハリス;マーガレット アン ブリンブル;
IPC主号:C07K7-06
专利说明:

[0001] (優先権の主張)
このPCT国際出願は、発明の名称が「神経再生ペプチドの合成類似体」である2007年10月17日提出の米国仮特許出願第60/999,292号、及び発明の名称が「神経再生ペプチドの合成類似体」である2007年10月18日提出の米国仮特許出願第60/999,503号の優先権を主張する。これらの両仮特許出願は、個々に参照によって本明細書に完全に組み込まれたかのように、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
(発明の分野)
この発明は、神経の再生、移動、増殖、分化及び/又は軸索伸長特性を有するペプチドの合成類似体に関する。これらのペプチドは「神経再生ペプチド」又は「NRP」と呼ばれる。特に、この発明は、NRPの1つ以上の生物学的特性を有する比較的小さいペプチドの類似体に関する。]
背景技術

[0002] (背景)
神経再生ペプチド(NRP)は、哺乳動物における神経機能を促進するために望ましい特性を示すことが分かっている分類のペプチドである。これらの機能には、神経生存、神経増殖、神経細胞伸長、神経移動及び神経細胞分化が含まれる。数種のNRPが以前に記載されており、米国特許出願第10/225,838号及び第10/976,699号、PCT/US02/026782、PCT/US2004/036203、PCT/US2006017534及びPCT/US2006026994で開示されているものが挙げられる。上記各特許出願は、個々に参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれたかのように、参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれる。]
発明が解決しようとする課題

[0003] (概要)
これまでに開示されたNRPは望ましい薬力学的特性を有し、神経の再生、移動、増殖、分化及び/又は軸索伸長を促進する。我々は最近、改良された薬物動態学的特性をも有する合成NRP類似体を発見した。当技術分野では、NRPの薬力学的特性と同様の望ましい薬力学的特性を有するのみならず、改良された薬物動態学的特性をも有し、及び/又は化学的に安定な合成分子若しくは修飾ペプチドが要望されている。]
課題を解決するための手段

[0004] この発明の特定の態様は、神経系又はNRPが有効な他の系の障害を治療するために使用できる新規な合成NRP類似体分子を含む。別の態様は、細胞変性及び細胞死の障害、例えば特定の神経系障害の療法を提供することである。いくつかの態様では、NRPの合成類似体を用いて筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、酸化ストレス(例えば、ハンチントン舞踏病)又は末梢神経障害(PN)の有害作用を治療することができる。この発明のさらなる態様は、安定性が改良されたNRP類似体の製造である。
本発明の分子を同定するため、用語「NRP化合物」、「NRPの類似体」、「配列番号:」及び簡単にするためその他の用語を使用するが、それらの完全な特徴を提供するものでないことを理解すべきである。従って、「NRPの類似体」は特定のアミノ酸配列、特定の二次元表現の構造を有するとして本明細書では特徴づけてあるが、請求した実際の分子は、三次元構造、一定の結合についての移動度及び全体として分子の他の特性などの他の特徴を有することが分かる。この発明の主題は、分子自体及び全体としてのその特性である。
また当然のことながら、ペプチドの「NRP」との命名は、それが神経作用のみを有することを意味しない。むしろ、用語NRPは上記特許出願に記載されているのと同様の構造成分を有するペプチドを含む意図であるが、他の細胞型、組織、及び/又は器官にも作用しうる。特定の実施形態では、比較的短いNRPの類似体を提供する。該類似体は、少なくとも部分的に酵素分解の減少のため、安定性が高くなりうる。他の実施形態では、アミノ酸が修飾されたNRP類似体を提供する。なおさらなる実施形態では、アミノ酸の代わりに非アミノ酸置換基を有するNRP類似体を提供する。]
図面の簡単な説明

[0005] 本発明をその特有の実施形態を参照して説明する。図面の参照によって、この発明の他の特徴及び態様を十分に理解できる。
神経毒3-NPにさらした細胞培養における2つのNRP、この発明の配列番号:5及び配列番号:1の神経保護効果のグラフを示す。
ペプチドを-20℃又は-4℃で貯蔵した場合の配列番号:1の神経保護効果の研究結果のグラフを示す。
ペプチドを-20℃又は-4℃で貯蔵した場合のこの発明の配列番号:5の神経保護効果の研究結果のグラフを示す。
図1に示したのと同様に、神経毒3-NPで処置した細胞培養におけるこの発明の配列番号:5及び配列番号:1の神経保護効果の拡張研究結果のグラフを示す。
EAEの動物における運動機能障害の重症度を軽減するため、合成NRPを疾患のピーク時に投与した場合のこの発明の配列REGRRDAPGRAGG(配列番号:12)のかなりの長期的効果を示すグラフを表す。スコア1は最低のスコアであり、弛緩性尾部のみを意味し、より高いスコアは後肢の脱力(スコア2)又は完全な麻痺(スコア3)を意味する。統計解析にはクラスカル・ワリス検定(Kruskal-Wallis-test)を利用し;**p<0.01対処置日1のスコア(データは平均±SEMで表示)。
ピリドキシン(800mg/kg/日)で末梢神経障害を誘発し、ビヒクル又はこの発明の配列番号:5のどちらかで2つの異なる用量にて処置したラットの光線歩行スコアの結果のグラフを示す。
ピリドキシン(1200mg/kg/日)で末梢神経障害を誘発し、ビヒクル又はこの発明の配列番号:5のどちらかで処置したラットの光線歩行スコアの結果のグラフを示す。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のマウスモデルを用いたマウスの寿命延長及びこの発明の配列番号:5の合成NRPの2つの異なる用量の効果の研究結果のグラフを示す。]
[0006] (詳細な説明)
いくつかの実施形態では、天然ペプチドの配列を有するNRP化合物を提供する。例えば、1つの該NRPは下記配列を有する11アミノ酸長(11-mer)ペプチドである。
NH2-G1RRAAPGRAGG11-NH2 配列番号:1
当然のことながら、NRPの合成化合物又は類似体はアミド化したC-末端を有してよく、或いはC-末端ヒドロキシル残基(OH)を有しうる。また当然のことながら、用語「NRP化合物」、「NRP類似体」及び同様の用語は、この発明の化合物又は以前に開示されたNRPペプチド若しくはNRPタンパク質を指す。]
[0007] (NRPの合成類似体)
下記タイプの修飾の1つ以上を有しうるNRPの合成類似体を提供する:(1)βターンの安定化、(2)グリシン残基の置換、(3)N-末端グリシン残基の置換及び/又は(4)環化。]
[0008] 1.βターンの安定化
βターン予測のチョウ・ファスマン(Chou and Fasman)確率は、配列番号:1における高い可能性のβターンが以下の太字で示すドメインAPGR(配列番号:2)及びRAGG(配列番号:3)内で見つけられることを明らかにする。


アルキル化アミノ酸のような立体的障害を導入することによってβターンを安定化することができる。使用できる容易に入手可能なアミノ酸としては、アラニン及びグリシン残基のどちらか又は両方の置換として使用できるアミノイソ酪酸(Aib、アラニンのα-Hがメチルで置換されている)が挙げられる。]
[0009] A.APGRドメインの修飾
配列APGR(配列番号:2)において、アラニン又はグリシンをアミノイソ酪酸(Aib)で置換することができる。アラニンのAibによる置換は下記類似体を生じさせる。
NH2-G1RRA-Aib-PGRAGG11-NH2 配列番号:4]
[0010] B. RAGGドメインの修飾
別のβターン配列、RAGG(配列番号:3)では、アラニンをアミノイソ酪酸(Aib)で置換して下記配列を有する類似体を生じさせうる。
NH2-G1RRAAPGR-Aib-GG11-NH2 配列番号:5
実験は、配列番号:5が神経保護性であり(図1〜4参照)、貯蔵条件下で安定性であり(図2及び3)、無置換NRPより高い神経保護性であり(図1及び4)、末梢神経障害(図6及び7)及びALS(図8)に有効であることを示した。]
[0011] 2.グリシン残基の置換
アスパラギン(N)で内部グリシン残基を置換すると、アスパラギンはグリシンより高いβターン傾向を有するためβターンを誘導することができる。従って、内部グリシン残基をアミノ酸位置10にてアスパラギンで置換して、下記配列を有するペプチドを生じさせうる。

このNRP類似体は3-NPで誘導された神経毒性のin vitroモデルで神経保護性であることが分かった。]
[0012] 3. N-末端グリシン残基の置換
N末端でG1を切断すると、生物学的活性の損失をもたらしうる。アセチル基でG1を置換すると、生物学的活性を修復することができる。結果として生じるNRP類似体は、アセチル化されて下記配列を有するペプチドをもたらす。
AcNH-RRAAPGRAGG11-NH2 配列番号:7
このNRP類似体は3-NPで誘導された毒性に逆らって神経保護性であることが分かった。]
[0013] 4. L-アミノ酸のD-アミノ酸による置換
1つ以上のL-アミノ酸の代わりにD-アミノ酸が存在することによって、ペプチドの二次構造が影響を受けうる。N-末端から3番目のアミノ酸の置換は下記配列を有する化合物を生じさせる。
NH2-GR (D-Arg) AAPGRAGG-NH2 配列番号:8
このNRP類似体は、3-NPによって誘発された神経毒性のin vitroモデルで神経保護性であることが分かった。]
[0014] 5.環化
配列番号:1の環状ペプチド模倣薬の合成を実行することができる。ある方法は、配列の各末端にシステイン残基を付加してから、結果として生じた生成物を酸化して下記配列を有する環状ジスルフィドを生じさせる工程を含む。]
[0015] ]
[0016] 或いは、N及びCの両末端グリシン残基をシステイン残基で置換し、上記と同様に酸化して、下記配列を有する類似体を生じさせうる。]
[0017] ]
[0018] アミド結合を作り出すことによって、C末端残基のN末端残基への直接環化を達成して、下記配列を有するペプチドを生じさせうる。]
[0019] ]
[0020] 円二色性を用いて二次構造を示すことができ、かつ従来法を用いて小ペプチドのモデリング用コンピュータシミュレーションソフトウェアの使用を実施することもできる。この発明のNRP類似体の構造上の特徴を決定するためにこれらの両手法を利用できる。]
[0021] (NRPの合成類似体の合成)
これらの化合物の調製で使用する出発原料及び試薬は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, Wis.)、Bachem(Torrance, California)、Sigma(St. Louis, Mo.)等の商用供給業者から入手可能であり、又はFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, vols. 1-17, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1991;Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, vols. 1-5 and supplements, Elsevier Science Publishers, 1989;Organic Reactions, vols. 1-40, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1991;March J; Advanced Organic Chemistry, 4th ed. John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1992;及びLarock: Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers, 1989のような参考文献に記載の手順に従い、当業者に周知の方法で調製される。多くの場合、アミノ酸とそのエステル又はアミド、及び保護されたアミノ酸は広く市販されており;かつ修飾アミンとそのアミド又はエステルの調製については化学及び生化学文献で広く記載さされているので当業者には周知である。例えば、N-ピロリジン酢酸は、Dega-Szafran Z and Pryzbylak R.「双性イオンα-(1-ピロリジン)アルカノカルボン酸とそのN-メチル誘導体の合成、IR、及びNMR研究(Synthesis, IR, and NMR studies of zwitterionic α-(1-pyrrolidine)alkanocarboxylic acids and their N-methyl derivatives.)」J. Mol. Struct.: 436-7, 107-121, 1997に記載され;かつN-ピペリジン酢酸はMatsuda O, Ito S, and Sekiya Mに記載されている。各論文は、参照によって明白に本明細書に完全に組み込まれる。]
[0022] 便宜上、本発明のポリペプチドの合成は、Goodman M. (ed.)によって「ペプチド及びペプチド模倣薬の合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)」(Methodsof organic chemistry (Houben-Weyl) (Workbench Edition, E22a,b,c,d,e; 2004; Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York);参照によって明白に本発明に完全に組み込まれる)に記載された固相合成法に従ってよい。この手法はよく理解されており、ペプチド調製の常法である。この方法の一般概念は、鎖の第1アミノ酸を共有結合で固体ポリマーに付着させることに依存する。その後、一つずつ(段階的戦略)、又はブロックで(セグメント戦略)、所望配列が構築されるまで、保護されたアミノ酸を加える。最後に、保護されたペプチドを固形樹脂担体から除去し、保護基を切断する。この手順により、試薬及び副生物をろ過で除去すると、中間体を精製する必要を排除する。]
[0023] 樹脂として適したいずれのポリマーにアミノ酸を付着させてもよい。樹脂は、第1の保護されたアミノ酸が共有結合でしっかり連結できる官能基を含んでいなければならない。種々のポリマー、例えばセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリラート及びポリスチレン等がこの目的に適している。適切なポリマーは市販されており、当業者に周知である。該合成で使用できる適切な保護基としては、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC)、ベンジル(Bzl)、t-アミルオキシカルボニル(Aoc)、トシル(Tos)、o-ブロモフェニルメトキシカルボニル(BrZ)、2,6-ジクロロベンジル(BzlCl2)、及びフェニルメトキシカルボニル(Z又はCBZ)が挙げられる。さらなる保護基がGoodman(前出)及びMcOmie JFW: Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, New York, 1973(両参考文献は参照によって明白に本明細書に完全に組み込まれる)で同定されている。]
[0024] この発明のペプチドを調製するための一般手順は、カルボキシル末端保護されたアミノ酸を樹脂へ付着させる工程を最初に含む。付着後、樹脂をろ過し、洗浄し、カルボキシル末端アミノ酸のα-アミノ基上の保護基を除去する。この保護基の除去は、当然に、アミノ酸と樹脂との間の結合を切断せずに起こらなければならない。次のアミノ、必要な場合は側鎖保護されたアミノ酸を次に樹脂上のアミノ酸のフリーのアミノ基にカップリングする。このカップリングは第2のアミノ酸のフリーのカルボキシル基と、樹脂に付着している第1のアミノ酸のアミノ基との間のアミド結合の形成によって起こる。全てのアミノ酸が樹脂に付着するまで、逐次アミノ酸を用いてこの事象シークエンスを繰り返す。最後に、保護されたペプチドを樹脂から除去し、保護基を除去すると所望ペプチドが現れる。樹脂からペプチドを分離するため及び保護基を除去するために使用する切断手法は、樹脂と保護基の選択によって決まり、ペプチド合成の技術分野の当業者には周知である。]
[0025] 2つのシステイン残基間のジスルフィド結合の形成によってペプチドを環化してよい。該結合の形成方法は周知であり、G. A. Grant (Ed.) Synthetic Peptides A User's Guide 2nd Ed., Oxford University Press, 2002, W. C. Chan and P. D. White (Eds.) Fmoc Solid Phase Synthesis A Practical Approach, Oxford University Press, 2000及びその中の引用文献に記載されている当該方法のような方法が含まれる。
ペプチド合成の代替手法は、Bodanszky et al, Peptide Synthesis, 2nd ed, John Wiley and Sons, New York, 1976(参照によって明白に本明細書に完全に組み込まれる)に記載されている。例えば、アミド結合形成の化学的又は酵素的方法を利用するアミノ酸又はペプチドフラグメントの段階的又はブロックカップリングのどちらかを含む、標準的な溶液ペプチド合成方法論を用いて本発明のペプチドを合成することもできる(例えば、酵素的ペプチド合成方法を記載しているH. D. Jakubke in The Peptides, Analysis, Synthesis, Biology, Academic Press, New York, 1987, p. 103-165;J. D. Glass, ibid., pp. 167-184;及び欧州特許第0324659(A2)号を参照されたい)。これらの溶液合成方法は技術上周知である。
市販のペプチド合成機、例えばApplied Biosystems Model 430Aをこれらの方法の実施に利用できる。]
[0026] (NRP類似体の治療的使用)
この発明のNRP類似体を用いて神経障害を治療することができる。NRPは、予想外に、脳の自己免疫障害に付随する神経変性、例えばEAE及び多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び神経細胞への毒性傷害などの治療に有効だった。]
[0027] (NRP類似体で治療可能な障害及び状態)
この発明のNRP化合物が有益でありうる障害及び状態として以下のものが挙げられる。
NRP類似体で治療可能な神経系状態として、細菌、真菌、スピロヘータ及びサルコイド感染などの中枢神経系の感染症、例えば発熱性感染症、急性細菌性髄膜炎又は軟膜炎が挙げられる。
脳血管疾患としては、脳卒中、虚血性脳卒中、低酸素/虚血、アテローム硬化性血栓症、ラクナ(lacune)、塞栓症、高血圧性出血、破裂動脈瘤、血管奇形、一過性脳虚血発作、頭蓋内出血、自然発症くも膜下出血、高血圧性脳症、脳動脈の炎症性疾患、例えば、心不全(おそらく冠動脈バイパス形成手術に起因する)及び他の形態の脳血管疾患によって起こる灌流の減少が挙げられる。
頭蓋脳損傷としては、頭蓋底骨折及び脳神経損傷、頸動脈海綿洞瘻、気頭症、気瘤及び鼻漏、脳挫傷、外傷性脳内出血、外傷性脳損傷、穿通性外傷性脳損傷及び子供の急性脳腫脹が挙げられる。]
[0028] 脱髄性疾患としては、視神経脊髄炎、急性播種性脳脊髄炎、急性及び亜急性壊死性出血性脳炎、シルダー汎発性脳硬化症及び末梢神経障害を伴う多発性硬化症が挙げられる。神経系の変性疾患には、進行性認知症、汎発性大脳萎縮症、非アルツハイマー型の汎発性皮質萎縮症、レビー小体型認知症、ピック病、前頭側頭型認知症、視床変性症、非ハンチントン型舞踏病及び認知症、皮質-脊髄変性症(Jakob)、認知症-パーキンソン病-筋萎縮性側索硬化症複合(Guamanina他)及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)の1つ以上の症候群が挙げられる。
末梢神経障害は末梢神経細胞への損傷又は末梢神経細胞の損失によって特徴づけられる一般的な身障状態である。100種を超える末梢神経障害があり、それぞれそれ自体に特徴的な症状、発症パターン、及び予後のセットがある。末梢神経障害は遺伝的又は後天的のいずれもありうる。遺伝型の末梢神経障害は、遺伝子の突然変異によって引き起こされうる。いくつかのタイプの末梢神経障害とそれらに共通する特徴を下表1に示す。表1は、ピリドキシ誘発、ストレプトゾトシン(streptozotin)誘発及び化学療法誘発末梢神経障害並びに糖尿病性末梢神経障害の間の比較を示す。]
[0029] 表1:末梢神経障害に共通する特徴]
[0030] 後天性末梢神経障害は、神経への物理的傷害(外傷)、腫瘍、毒素(化学療法を含め)、自己免疫反応、栄養障害、アルコール中毒、血管及び代謝障害(例えば、糖尿病性神経障害)が原因となりうる。HIV関連末梢神経障害は、HIVウイルスの逆転写酵素を標的とする薬物に共通の副作用である。末梢神経障害の症状は、一時的な知覚麻痺、刺痛、及び穿刺感覚、触れられた時の感受性又は筋力低下からさらに極端な症状、例えば灼熱痛、筋消耗、麻痺、器官又は腺の機能障害まで変化しうる。
高用量のピリドキシン(ビタミンB6)によって誘発されたヒト感覚神経障害の最初の報告はSchaumberg et al., New Eng. J. Medicine 309:445-448, 1983に由来する。2〜14カ月の期間にわたって2000〜6000mg/日の範囲で毎日摂取した。全ての患者が手足の麻痺による「靴下・手袋型(stocking-glove)」知覚損失及び不安定な歩行を示した。
末梢神経障害のラットモデルを用いて、ピリドキシンによって誘発された神経異常の検査が可能である。例えば、1,200又は800mg/kg/日のピリドキシンをラットに5〜10日間投与すると、感覚神経の壊死をもたらし、特に坐骨神経及び後根神経節内の大径神経細胞を冒す(Xu et al., Neurology 39:1077-1083, 1989)。
動物におけるピリドキシン誘発末梢神経障害は、治療薬の効果を研究するために認められているシステムである。特に、このシステムは該薬剤がヒトの末梢神経障害に及ぼす効果の予測システムである。]
[0031] (代謝障害)
神経系の後天性代謝障害として、錯乱、昏迷又は昏睡-虚血-低酸素症、低血糖症、高血糖症、肝不全及びライ症候群の1つ以上を含む症候群として現れる代謝疾患、進行性錐体外路症候群として現れる代謝疾患、小脳失調症、高熱症、セリアックスプルー(celiac-sprue)病として現れる代謝疾患、クッシング病及びステロイド性脳症、甲状腺性精神障害及び甲状腺機能低下症並びに膵性脳症といった精神障害又は認知症を引き起こす代謝疾患が挙げられる。神経障害をもたらしうる代謝障害の例は、さらに完全に後述するピリドキシン過剰である。]
[0032] (栄養障害、アルコール及びアルコール中毒に起因する神経系の疾患)
薬物及び他の化学薬品に起因する神経系の障害としては、アヘン剤及び合成鎮痛剤、鎮静催眠薬、刺激薬、精神賦活薬、細菌毒素、植物毒、有毒性咬傷及び刺傷、重金属、工業毒、抗腫瘍及び免疫抑制薬、サリドマイド、アミノグリコシド抗生物質(聴器毒性)及びペニシリン誘導体(てんかん)、心保護薬(β-ブロッカー、ジギタリス誘導体及びアミオダロン)によるものが挙げられる。]
[0033] 前記リストで示したように、本発明の組成物及び方法はヒト神経損傷及び疾患の治療での使用を見出すことができる。なおさらに一般的には、本発明の組成物及び方法は、例えば限定するものではないが、びまん性軸索損傷、出生時低酸素性虚血性損傷、外傷性脳損傷、脳卒中、虚血性梗塞、塞栓症、及び高血圧性出血;CNS毒素への曝露、中枢神経系の感染症、例えば、細菌性髄膜炎;代謝疾患、例えば低酸素性虚血性脳症、末梢神経障害、及び糖原貯蔵障害に関与する当該疾患などの急性脳損傷の結果としての神経障害;又は例えば限定するものではないが、多発性硬化症、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病などの慢性神経損傷若しくは神経変性疾患に苦しむヒト患者の治療での使用を見出すことができる。このような疾患又は損傷に苦しむ患者は、神経細胞の増殖及び移動、並びに神経突起伸長を惹起できる治療プロトコルによって大いに利益を得ることができる。
なおさらに一般的に、本発明は、外傷、毒素曝露、窒息又は低酸素性虚血の形態の傷害後の損傷領域への神経細胞及び神経芽細胞移動の誘導に適用できる。]
[0034] (NRP類似体の投与)
NRP類似体を患者に直接投与して使用することができる。NRP類似体を薬物又は医薬製剤の一部として投与することができる。これはNRP類似体をいずれの医薬的に適切な担体、アジュバント又は賦形剤と併用することをも含みうる。さらにNRP類似体を他の非NRP神経保護薬、増殖薬、又は他の薬剤と共に使用することができる。担体、アジュバント又は賦形剤の選択は、使用する予定の投与経路によって決まりうる。
投与経路は個々の状態に合わせて広く変化しうる。NRP類似体を異なる経路で:腹腔内、静脈内又は脳室内投与することができる。末梢適用は中枢神経系と直接干渉しないので1つの選択経路でありうる。]
[0035] 技術上周知のいずれの末梢投与経路をも利用することができる。これらには、非経口経路、例えば末梢循環、皮下、眼窩内、眼部、脊髄内、大槽内、局所への注射、注入(例えば徐放装置又はミニポンプ、例えば浸透圧ポンプ又は皮膚パッチを用いて)、移植、エアロゾル、吸入、乱切、腹腔内、関節内、筋肉内、鼻腔内、経口、頬側、肺、直腸又は腟経路が挙げられる。組成物を治療的に有効な量(例えば、患者の病的状態を排除又は軽減する量)でヒト又は哺乳動物に非経口投与するために処方して、上記神経疾患の治療を提供することができる。
投与経路として、皮下注射(例えば、0.9%塩化ナトリウムに溶解)及び経口投与(例えば、カプセルで)が挙げられる。
当然のことながら、時にはいずれかの適切な投与経路で患者のCNSにNRP類似体を直接投与することが望ましいこともある。例として、側脳室注射によるか又は患者の脳の側脳室へ外科的に挿入したシャントを介して、脳脊髄液へ又は患者の脳の患部に直接投与することが挙げられる。]
[0036] (NRP類似体の治療用量)
この発明の一部の実施形態では、脳損傷を治療するための方法は、1種以上のNRP類似体を約0.01μg/kg(体重)〜約100μg/kg(体重)の用量範囲で投与する工程を含む。他の実施形態では、1μg/kg(体重)〜約10μg/kg(体重)の用量を利用しうる。さらなる実施形態では、NRPの用量は約0.01μg/kg(体重)〜約0.1mg/kgの範囲であってよい。
他の実施形態では、投与すべきNRP類似体の有効量の決定は当業者のスキルの範囲内であり、当業者にとっては日常的であろう。特定の実施形態では、本明細書に記載のアッセイシステムを利用するin vitro研究によって、使用すべきNRP類似体の量を見積もることができる。投与すべきNRP類似体の最終量は、投与経路、使用するNRP類似体並びに治療する予定の神経障害又は状態の性質によって決まるだろう。適切な用量範囲は、例えば約0.01μg/kg(体重)〜約15μg/kg(体重)であってよく、又は他の実施形態では、約20μg/kg(体重)〜約30μg/kg(体重)でありうる。]
[0037] 医薬に含めるため、Merrifield et al., 1963 (J. Am. Chem. Soc. 15:2149-2154)又はGoodman M. (ed.), “Synthesis of Peptides and Peptidomimetics” in Methodsof organic chemistry (Houben-Weyl) (Workbench Edition, E22a,b,c,d,e; 2004; Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York)(参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれる)の段階的固相合成法などの常法でNRP類似体を直接合成することができる。ペプチド合成の該方法は技術上周知であり、例えばFields and Colowick, 1997, Solid Phase Peptide Synthesis (Methods in Enzymology, vol. 289), Academic Press, San Diego, CA(参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれる)に記載されている。代替合成は、市販のペプチド合成機、例えばApplied Biosystemsモデル430Aの使用を含みうる。]
[0038] 一般的提案として、非経口投与量当たりのNRP類似体の医薬的に有効な総量は、用量反応曲線によって測定できる範囲内であろう。例えば、治療すべき哺乳動物の体液内で血中のNRP類似体を測定して投与量を決定することができる。或いは、増加量のNRP化合物を患者に投与し、NRP類似体について患者の血清レベルをチェックすることができる。NRP類似体のこの血清レベルに基づいて、使用すべきNRP類似体の量をモルベースで計算することができる。]
[0039] 本化合物の適切な投与量を決定するための1つの方法は、体液又は血液などの生物学的流体中のNRPレベルを測定する必要がある。該レベルの測定は、RIA及びELISAなどのいずれの手段によっても行うことができる。NRP類似体レベルを測定した後、単回又は複数回投与を利用して流体を化合物と接触させる。この接触工程後、流体内でNRP類似体レベルを再び測定する。流体NRP類似体レベルが、所望効力を生じさせるのに十分な量だけ下がったら(その効力のために該分子が投与される)、該分子の用量を調整して最大効力を生じさせることができる。この方法をin vitro又はin vivoで行うことができる。例えば、流体を哺乳動物から抽出し、NRP類似体レベルを測定した後、ここでは本化合物を単回投与又は複数回投与を利用して哺乳動物に投与(すなわち、接触工程を哺乳動物への投与によって達成)してから、哺乳動物から抽出した流体からNRP類似体レベルを再測定することで、この方法をin vivoで実施することができる。]
[0040] NRP類似体は徐放システムで好適に投与される。徐放組成物の適切な例には成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形の半透性ポリマーマトリックスが挙げられる。徐放マトリックスとしては、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)(Langer et al., 1981)、酢酸ビニルエチレン(Langer et al., 前出)、又はポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が挙げられる。徐放組成物にはリポソーム関連化合物も含まれる。DE 3,218,121; Hwang et al., 1980; EP 52,322; EP 36,676; EP 88,046; EP 143,949; EP 142,641; 日本国特許出願83-118008、米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号並びにEP 102,324で例示されるように、当技術分野で既知の方法で本化合物を含有するリポソームを調製する。一部の実施形態では、リポソームは小さい(約200〜800Å)単層型のもので、脂質含量が約30モルパーセントのコレステロールより多く、その選択比率は最も効率的な療法に合わせて調整される。本明細書で参照する全ての米国特許は、前出及び後出の両方とも参照によってその全体が本明細書に明白に組み込まれる。
非PEG化ペプチドより寿命が長いPEG化ペプチドをも、例えば、1995年11月30日に公開されたWO95/32003に記載の接合技術に基づいて利用することができる。]
[0041] 一部の実施形態では、本化合物を一般的にそれぞれ所望純度で、単回注射用剤形(溶液、懸濁液、又はエマルション)で、医薬的、又は非経口的に許容しうる担体、すなわち使用する投与量及び濃度ではレシピエントに無毒であり、かつ製剤の他成分と適合性である担体と混合することによって製剤化することができる。例えば、製剤は、好ましくは酸化剤及びポリペプチドに有害なことが分かっている他の化合物を含まない。当然のことながら、上記用量は限定する意図ではない。当業者は、上記範囲外の他の用量を決定することができる。]
[0042] 一部の実施形態では、化合物を均一かつ密接して液状担体若しくは微粉固形担体又は両方と接触させることによって製剤を調製することができる。次に、所望により、生成物を所望製剤に成形することができる。一部の実施形態では、担体は非経口担体であり、或いは、レシピエントの血液と等張性の溶液である。該担体ビヒクルの例として、水、食塩水、リンゲル液、緩衝溶液、及びデキストロース溶液が挙げられる。ここでは非水性ビヒクル、例えば固定油及びオレイン酸エチルも有用である。
担体は適宜少量の添加剤、例えば等張性及び化学的安定性を高める物質を含む。該材料は望ましくは使用する投与量及び濃度でレシピエントに無毒であり、例としてであるが、緩衝液、例えばリン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、及び他の有機酸又はその塩;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド、例えば、ポリアルギニン又はトリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;グリシン;アミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、又はアルギニン;単糖類、二糖類、及び他の炭水化物、例えばセルロース又はその誘導体、グルコース、マンノース、トレハロース、又はデキストリン;キレート化剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトール;対イオン、例えばナトリウム;非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、ポロキサマー、又はポリエチレングリコール(PEG);及び/又は中性塩、例えば、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2などが挙げられる。特定の実施形態では、0.5Mスクロース又は0.5Mトレハロースを用いて本発明のペプチドを安定化することができる。このような糖の使用によって、ペプチドを長期間貯蔵することができる。]
[0043] 望ましくはNRP化合物を該ビヒクル中、約6.5〜約8のpHで製剤化しうる。或いは、pHが約4.5〜約8であってよい。当然のことながら、特定の前記賦形剤、担体、又は安定剤の使用は、本化合物の塩の形成をもたらすだろう。最終製剤は安定な液体又は凍結乾燥固体であってよい。]
[0044] 他の実施形態では、アジュバントを使用することができる。錠剤、カプセル剤などに組み込める典型的アジュバントは、結合剤、例えばアカシア、コーンスターチ、又はゼラチン;賦形剤、例えば微結晶性セルロース;崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸;潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味料、例えばスクロース又はラクトース;香味料、例えばペパーミント、ウィンターグリーン、又はサクランボである。剤形がカプセル剤の場合、上記材料に加え、液状担体、例えば脂肪油などを含んでもよい。種々タイプの他の材料をコーティング剤又は投与単位の物理的形態のモディファイヤーとして使用しうる。シロップ又はエリキシル剤は、活性化合物、スクロース等の甘味料、プロピルパラベン等の保存剤、着色剤、及びサクランボ等の香味料を含有しうる。通常の製薬プラクティスに従って注射用無菌組成物を調製することができる。例えば、水又は天然に存在する植物油、例えばゴマ油、ピーナッツ油、若しくは綿実油又は合成脂肪ビヒクル、例えばオレイン酸エチル等のビヒクルに活性化合物を溶解又は懸濁させるのが望ましい。承認されている製薬プラクティスに従って緩衝液、保存剤、抗酸化剤などを組み込むことができる。]
[0045] 治療投与のために使用するNRP類似体は無菌であることが望ましい。無菌ろ過膜(例えば、孔径が約0.2ミクロンの膜)を通すろ過によって無菌性を容易に達成することができる。一般的に、無菌アクセスポート、例えば皮下注射針で貫通できるストッパーを有する静脈液バッグ又はバイアルを有する容器に治療組成物を入れることができる。
他の実施形態では、NRP類似体を単回又は複数回投与容器、例えば、封止アンプル又はバイアル内で再構成用水溶液又は凍結乾燥製剤として貯蔵することができる。凍結乾燥製剤の例として、10mLバイアルを、化合物の滅菌ろ過した0.01%(v/v)水溶液5mlで満たし、結果として生じる混合物を凍結乾燥する。静菌水又は他の適切な溶媒を用いて凍結乾燥化合物を再構成することによって注入液を調製することができる。
なおさらなる実施形態では、キットは所定量の凍結乾燥NRP化合物、剤形の調製のための生理学的に適合性の溶液、混合バイアル、混合装置、及び使用説明書を含む。当業界の普通のプラクティスに従って該キットを製造かつ貯蔵することができる。
NRP化合物含有組成物を1つ以上の種々の経路で投与してよい。例として、静脈内、腹腔内、脳内、脳室内、吸入、洗浄、直腸、膣、経皮、皮下投与を使用できる。]
[0046] 以下に実施例を示してこの発明の特定の実施形態を説明する。当業者は、本明細書の開示及び教示を利用して、過度の実験をせずに他の実施形態及び変形を作り出すことができる。このような全ての実施形態及び変形はこの発明の一部であるとみなす。]
[0047] 実施例1:小脳の微小外植片の生存と増殖に及ぼすNRP化合物の効果
(NRP化合物の調製)
NRP化合物はAuspep(Australia)によって提供された。標準的固相合成を利用してペプチドを合成した。ペプチドはアミド化C-末端を有して供給され、かつMALDI-MSスペクトル解析で分析すると95%より純度が高かった。ペプチドは使用するまで、0.5Mスクロース又は0.5Mトレハロース内アルゴン下で-80℃にて凍結乾燥した。それらを0.5Mスクロース又は0.5Mトレハロース内で、PBS、或いは100μ/mlヒトトランスフェリン/PBS又は他の実施形態では、100μg/mlのBSA/PBS内で再構成した。]
[0048] (細胞培養の調製)
2つの半球の積層した小脳皮質をP3、P4、P7又はP8ウィスターラットから外植し、GBSSと0.65%のD(+)グルコース溶液内で小片にカットし、0.4mmゲージ針で粉砕してから125μmの孔径ふるいに通した。得られた微小外植片を2回遠心分離(60Xg)して培地を血清フリーBSA補充STARTV-培地(Biochrom)に交換した。最後に、微小外植片を500μlのSTARTV-培地で再構成した。培養のため、空気中5%CO2を含み、34℃で100%の湿度の雰囲気下にて35mmのペトリ皿内ポリ-D-リジン被覆カバーガラス上で1時間38μlの細胞懸濁液をインキュベートした。引き続き、損傷毒素(後述する通り)、NRP類似体及び1mlのSTARTV培地を加え、2〜3日の培養後に培養を評価した。
免疫組織化学及び神経細胞移動実験のため、下記措置後の培養内で2〜3日後に小脳微小外植片を固定した:微小外植片を2分の連続処置(それぞれ0.4%;1.2%;3%のパラホルムアルデヒド)後、0.1Mリン酸ナトリウム中4%パラホルムアルデヒド/0.25%のグルタルアルデヒド(pH 7.4)内で5分のインキュベーションで固定した。]
[0049] (毒素誘発神経損傷に及ぼすNRP化合物の効果)
酸化ストレスは神経変性をもたらしうる。これはハンチントン舞踏病によるヒト障害で観察される症状についての1つの考えられるメカニズムである。酸化ストレス産生性毒素3-ニトロプロピオン酸(3-NP)は、ハンチントン舞踏病のヒトで見られる当該作用を模倣する実験動物で作用を生じさせることが以前に示されている。従って、3-NP誘発神経毒性を有する実験動物における治療薬の研究は、ハンチントン舞踏病又は酸化ストレスを特徴とする他の障害のあるヒトの治療における当該薬物の効果を予測できる。]
[0050] 新たに調製した小脳微小外植片に1/100部の毒素と神経保護薬を同時に投与するように、毒物学的及び薬物投与実験の一般的方法を設計した。MilliQ水中50mMの原液としてグルタマートを調製し、一方MilliQ水で50mMの3-ニトロプロピオン酸(3-NP)のpHを調整した(pH 6.8〜7.2)。このアッセイにおける酸化ストレス誘発性毒3-ニトロプロピオン酸(3-NP)、及び興奮毒グルタマートの濃度はそれぞれ0.5mMの濃度だった。凍結乾燥NRPペプチドをPBS又は100μg/mlヒトトランスフェリン内で10μMの原液として再構成した。引き続き、段階希釈を行った。小脳の微小外植片を48〜72時間、34℃、空気中5%CO2及び100%の湿度にて培養した後、それらを増加量のパラホルムアルデヒド(0.4%、1.2%、3%及び4%−それぞれ2〜3分処置)で固定した。
上記毒素を用いて、培養の初めに小脳微小外植片を24時間NRPの希釈物(生存アッセイ)又はNRPと0.1μM BrdU(増殖アッセイ)にさらした。引き続き、新しい毒素とNRPを添加せずに80%の培地を交換した。3日後、上述したように小脳培養をin vitroで固定した。組み込まれたBrdUレベルの検出を前述したように行った。]
[0051] (データ整理及び統計解析)
生存の統計解析のため、最高の細胞密度を有する各固定化小脳培養の4つのフィールド(各フィールドの面積は0.65mm2)を選択し、神経突起伸長を示す細胞を数えた(生存アッセイ)。]
[0052] (結果)
神経保護
NRP類似体は、3-NPで処置した外植片内での神経細胞生存増加を向上させた(実施例2、3及び4参照)。]
[0053] 実施例2:NRP化合物による神経細胞生存の向上
異なる濃度の配列番号:1、及びこの発明の配列番号:5の、実施例1に従って調製した細胞培養に及ぼす効果を研究した。配列番号:1と配列番号:5は、配列番号:1のアミノ酸配列の位置9のアラニン(A)をアミノイソ酪酸アミノ酸類似体(Aib)で置換して、配列番号:5に示す配列を有する化合物を生じさせたこと以外、同じアミノ酸配列を有する。アラニンのAib置換はペプチドの線形構造の変化に加え、βターンを安定化し、ひいては非置換ペプチドと比べて異なる三次元構造及び特定結合について異なる移動度を有するペプチドを生じさせうることが分かる。]
[0054] ビヒクルのみ(白抜き柱)、神経毒3-NPのみ(網掛け柱)、3-NP+異なる濃度の配列番号:5(斜線付き柱)又は3-NP+異なる濃度の非置換NRP、配列番号:1(濃い網掛け柱)に細胞培養をさらした。次に、神経細胞生存の指標として神経突起を有する細胞数を数えた。
図1は、これらの研究結果のグラフを示す。3-NPのみでは、ビヒクル処置コントロールに比べて神経突起を示す細胞の深刻な損失をもたらし、この化合物が実際に神経毒性であることを示唆している。10fM又は1pMの濃度で配列番号:1の配列を有するペプチドは、3-NPの神経毒作用を有意に減らした(平均±SEM;p<0.001;n=4)。同様に、配列番号:5は、濃度依存様式で3-NP-誘発神経毒性を低減し、閾値が約1fM未満であり、約100fMの濃度で最大効果を示した(平均±SEM;p<0.001;それぞれn=4)。
この研究から、配列番号:5が神経保護性であると結論づける。この結果は、配列番号:5が、神経障害を患うヒトの神経変性を治療するために役立つ治療的NRP化合物でありうることを意味する。さらに、酸化ストレスはハンチントン舞踏病のヒトで観察される神経変性と同様の神経変性を誘発することが分かっているので、この発明の合成NRP化合物を用いて、酸化ストレスによって生じた神経変性のあるヒトを治療することができる。]
[0055] 実施例3:非置換NRP化合物の安定性及び神経保護効果
この発明のNRPの貯蔵中の安定性を決定するため、配列番号:1を用いて一連の研究を行った。この研究では、配列番号:1を合成してから該ペプチドを9週間-20℃又は-4℃のどちらかの温度で貯蔵した。次に上記3-NPの神経毒作用に対して小脳神経細胞を保護するときの効力について該NRPを試験した。小脳外植片をビヒクルのみ(白抜き柱)、神経毒薬3-NPのみ(薄い点描柱)又は3-NP+9週間-20℃又は-4℃で貯蔵した4種の濃度の配列番号:1で処置した。]
[0056] 図2は、これらの結果を示す。3-NPのみで処置した小脳外植片(薄い点描棒)はビヒクル処置したコントロール外植片(白抜き棒)に比べて神経突起を示す細胞が少ないことを示した。-20℃で貯蔵した配列番号:1は、試験した全ての濃度(10-13M;100fM〜10-10M;100pM)で神経保護効果を示し、10-11Mと10-10Mの濃度で統計的に有意な効果が観察された。
対照的に、-4℃の温度で貯蔵した配列番号:1は3-NPの神経毒作用をほとんど低減しなかった。この研究から非置換NRPは-4℃での貯蔵期間にわたって活性を失い、配列番号:1を-20℃で貯蔵するとその効力を保護できると結論づけた。]
[0057] 実施例4:置換NRPの安定性及び神経保護効果
この研究では、上記実施例3と同様に異なる貯蔵条件と異なる濃度における置換NRP、配列番号:5の安定性を決定した。配列番号:5を合成してから-20℃又は-4℃のどちらかの温度で9週間貯蔵した。次に上記実施例2及び3で述べたように、3-NPの神経毒作用を低減する配列番号:5の効力を試験した。]
[0058] 図3は、これらの研究のグラフを示す。小脳外植片をビヒクルのみ(白抜き柱)、3-NPのみ(薄い点描柱)又は-20℃又は3-NP+-4℃のどちらかで貯蔵した10-13M〜10-10Mの範囲の4種の濃度の配列番号:5で処置した。-20℃で貯蔵した場合、実施例3及び図2に示したように、配列番号:5は、-20℃で貯蔵した配列番号:1について見られた神経保護効果と同様の神経保護効果を示した。
驚くべきことに、-4℃で貯蔵した場合でさえ、配列番号:5はその神経保護効果を保持することを見出した。実際に、-4℃での貯蔵後の配列番号:5によってもたらされる神経保護の度合は、-4℃での貯蔵後の配列番号:5によってもたらされる神経保護の度合と統計的に有意には異ならなかった。この結果は上記配列番号:1の研究に基づいては全く予想外だった。配列番号:5を有するNRPの高い安定性は、この化合物が普通に使用される条件下での貯蔵及び輸送に適切であることを意味する。]
[0059] 実施例5:非置換及び置換NRPの神経保護効果
実施例1の方法を用いて得た大量のデータにおいて、図1に示す結果を確証した。図4は、神経毒3-NPで処置した小脳微小外植片の研究結果のグラフを示し、各グループの6つの研究で配列番号:5と配列番号:1による神経保護を実証する。配列番号:1及び配列番号:5は、神経毒3-NPへの曝露後の死から神経細胞を保護すると結論づける。また、配列番号:5及び配列番号:1は、神経毒性に苦しむヒトを治療する際に有用な治療薬でありうると結論づける。]
[0060] 実施例6:多発性硬化症のモデルにおけるNRP類似体の治療効果と予防効果
重症の軸索損傷及びその後の病変(例えば多発性硬化症;MSで)につながるCNSにおける慢性炎症に対してNRPが影響を及ぼすかを決定するため、免疫原としてミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)を用いて、MSの重症度の進行状態を模倣する実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のマウスモデルでNRPを試験した。]
[0061] (方法及び材料)
動物
それぞれ平均体重が24gの6〜8週齢の雌マウス、株C57Bl/6Jを使用した。
NRPの調製
配列:NH2-REGRRDAPGRAGG-NH2(配列番号:12)
(米国特許出願第10/976,699号で開示された配列番号:30としても知られる)を有するペプチドはAuspep(Australia)によって供給された。ペプチド配列番号:12は、C-末端がアミド化されて供給され、MALDI-MS分光法、HPLCで決定した場合、純度が95%より高かった。質量分析で配列を確認した。ペプチドは使用するまでアルゴンガス下-80℃の温度で凍結乾燥して貯蔵した。使用する日にPBS内でペプチドを再構成した。]
[0062] 誘発EAE
800μugのヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(Difco, Detroit, USA)を含有する完全フロイントアジュバント(Difco, Detroit, USA)中200μugの脳炎惹起性ペプチドMOG35-55 MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK(配列番号:13;C S Bio Co. USAから得た)を含有する200μulLのエマルションを一方の側腹部に皮下注射した。即座に400ngの百日咳毒素(List Biological Laboratories, USA)をマウスに腹腔内注射器し、48時間後に再び注射した。]
[0063] (処置)
治療処置
疾患のピーク時(MOG免疫化後17日)に、0.1μgのペプチド/動物(4.16μg/kg)の1日用量で14日間動物に配列番号:12を腹腔内(i.p.)処置した。
(神経障害の評価)
毎日マウスをモニターし、以下の任意の臨床スコアに基づいて神経障害を採点した:0、臨床徴候なし;1、弛緩性尾部;2、後肢脱力;3、後肢麻痺;4、後肢脱力及び前肢脱力;5、対麻痺;6、死亡。]
[0064] (結果)
マウスのEAEに対するNRPの治療効果
最初のNRP処置後の37日の成果を図5に示す。末梢投与した場合、配列番号:12の有意な治療効果がある。同様の薬物効果が、神経再生化合物EPOについてメチルプレドニソロンとの併用療法で示されている。EPOの欠点はその大きいサイズであり、容易には合成又は投与することができない。NRPは、MSのEAE疾患モデルで起こる運動機能障害のピーク時に治療薬として投与した場合、かなり長期間該疾患の重症度を低減できると結論づける。スコア1は最低点であり、尾部の弛緩のみを意味するが、より高いスコアは後肢の脱力(スコア2)又は完全な麻痺(スコア3)を意味する。**p<0.01対処置日1のスコア。]
[0065] 実施例7:末梢神経障害の動物におけるNRP類似体の効果
この発明のNRP類似体が末梢神経障害の治療のために役立つ治療薬であるかを決定するため、ピリドキシンで誘発された末梢神経障害のあるラットで一連の研究を行った。
1日当たり単回ボーラスとして非常に低用量で投与したNH2-G1RRAAPGR-Aib-GG11-NH2(配列番号:5)は、毒性用量のピリドキシンで処置した動物の運動障害を減弱できることを実証した。]
[0066] (材料と方法)
雄のスプラーグドーリーラットを使用し、塩化ピリドキシンによる中毒の最初に秤量すると278〜349gだった。中毒の前、1週間1日ごとに光線を歩いて渡ることにラットを慣らした。
実験I:中性pHに調整した無菌蒸留水に溶解して400mg/kgの塩化ピリドキシンをラットに8週間1日2回腹腔内(i.p)投与し、同時に配列番号:5の配列を有するペプチドを全部で10日間腹腔内投与した。全部で29日間ラットを観察した。
実験II:より短期間にわたって、より高用量のピリドキシン(1200mg/kg/日)をラットに投与した。中性pHに調整した無菌蒸留水に溶解した塩化ピリドキシンをラットに4日間1日2回600mg/kgの用量で腹腔内投与した。同時に配列番号:5の配列を有するペプチドを全部で4日間投与した。日5に、ラットを運動障害について試験した。
ピリドキシン中毒後の運動障害及び配列番号:5の効果を正確な光線歩行を利用して分析した。1.5mの長さの光線を横切る7つの連続した足踏みをビデオテープで録画し、足根の位置に従ってこれらの足踏みを1〜4で採点した(1−光線の中線上に後肢足根;2−光線の中線の上半分に足根が触れていた;3−光線の中線の下半分に足根が触れていた;4−光線の中線より足根が下)。全ての7つの足踏みのスコアの結果を一緒に加えた。光線上に立てるが、歩けない場合に30というスコアを与えた。光線上に立つことさえできない場合には32というスコアを与えた。]
[0067] (処置群)
実験I:配列番号:5について試験した2種の濃度は、40ng/kg/日及び4μg/kg/日だった。
実験II:食塩水と配列番号:5を4μg/kg/日の用量で試験した。
(統計解析)
二元分散分析及びBonferroniのpost-hocテストで運動障害データを評価した。薬物処置コホートとビヒクル処置との間でp<0.05の場合に統計的に有意と結論づけた。]
[0068] (結果)
実験I:
ピリドキシン中毒の休止4日後、配列番号:5で処置した両ラットコホートはビヒクル処置群に比べて減弱した運動障害を示す(低投与量:p<0.05;高投与量:p<0.01)。ピリドキシン中毒開始後16日では、高用量の配列番号:5群は、コントロール群よりずっと有意に少ない運動障害を有した(p<0.05)(図6)。
実験II:
高用量のピリドキシン中毒の次の4日は、コントロール群のラットでかなりの運動障害をもたらす。日5では、配列番号:5で処置したラット群(投与量:4μg/kg/日)は運動障害の非常に有意な減弱を示した(p<0.001)(図7)。]
[0069] (結論)
配列番号:5は、運動障害、ピリドキシン誘発末梢神経障害の非常に有意かつ臨床的に相当な減弱を示したと結論づける。また、4μg/kg/日の用量で、配列番号:5は良く耐えられたと結論づける。4μg/kg/日の濃度は、ピリドキシン中毒のさらに慢性モデル(8日間800mg/kg/日)及び4日間投与した1200mg/kg/日で誘発した急性ピリドキシン中毒でも同様に良く作用した。
さらに、これらの研究から、配列番号:5はヒトの末梢神経障害に有効な処置でありうると結論づける。]
[0070] 実施例8:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の動物に対する配列番号:5の効果
この系列の研究では、ALSのヒトの運動神経疾患と同様の運動神経疾患をもたらす遺伝子欠陥(SOD-1)を有するマウスに及ぼす配列番号:5の効果を調べた。この障害のある動物は、経時的に運動協調性の進行性損失を示し、疾患の早期に究極的に死に至る。この動物系は、ヒトのALSを治療するのに役立つ可能性のある薬剤の効果を研究するのに有用である。従って、得られた結果はALSのヒトで観察される結果を高度に予測できる。]
[0071] (方法)
疾患発症点以降にビヒクル又は配列番号:5のどちらかを受けるようにマウスをランダムに割り当てた。各処置割当群の疾患発症は有意には異ならなかった:92〜93日。
配列番号:5の処置(40μg/kgを1日1回腹腔内投与(図8)又は0.4μg/kgを1日1回腹腔内投与(図8))は疾患の発症日に開始した。] 図8
[0072] (結果)
2つの研究では、配列番号:5処置はALS様障害に苦しむマウスの寿命の有意な延長をもたらした(図8A及び8B)。40μg/kgの1日用量の腹腔内投与の配列番号:5は、疾患発症後の長寿を有意に促した。図8A及び8Bは、SOD-1変異体(ALS)トランスジェニックマウスについてのカプラン・マイヤー生存確率曲線を示す。
ビヒクル処置動物は日120で死亡し始め、日143で全て死亡した(研究1;図8A;実線)。同様に、研究2では(図8B;実線)、ビヒクル処置動物は日120で死亡し始め、日154で全て死亡した(図8B;実線)。]
[0073] 対照的に、研究1(図8A;破線)では、配列番号:5処置マウスはビヒクル処置動物より遅く(日131)死亡し始め、長く生きた(日156まで)。有意に、2つのカプラン・マイヤー曲線は重ならなかった(図8A;40μg/kgの配列番号:5;ビヒクルのみで処置した動物の生存に比べてp<0.01)。研究2では、配列番号:5で処置した動物(図8B;破線;0.4μg/kg)はビヒクル処置動物より遅く死亡し始め(日125)、一般に、より長く生きた(189日まで;図8B;破線;配列番号:5)。]
[0074] (結論)
これらの研究から、配列番号:5はその非置換対応物に比べて予想外に改善された安定性を有する有効な薬剤であると結論づける。また、NRPのβターンを安定化すると、治療効果を改善することができ、かつ安定性を高めることができ、両者がNRPの類似体の治療的有用性を改善しうると結論づける。
従って、この発明のNRP類似体は、急性及び慢性神経変性障害、例えばALS、神経毒性、酸化ストレスに伴う神経変性、自己免疫障害、外傷性脳損傷並びに他の神経疾患及び状態の治療で役立ちうる。さらに、NRP類似体は、神経学的機能の損失が症状である状況において有益な治療効果を有しうると結論づける。]
[0075] 実施例9:生理学的(損傷のない)状態におけるNRP類似体媒介移動
後述する走触性移動アッセイにおいて、マウス神経幹細胞に及ぼす移動誘導性/化学誘引的活性についてNRP類似体を試験する。]
[0076] (方法)
初期NRPコーティング
孔径が12μmのTranswellプレート(Corning)のコントロールウェルを1.5mlのBSA/PBSビヒクル内でコーティングする。残りのプレートを0.1ng/mlのNRP類似体(10ug/mlのBSAを含有するPBS内で調製)を用いてコーティングする。
細胞外マトリックスコーティング
マウス初代幹細胞用の細胞外マトリックス(ECM)コーティングとしてラミニン(7μg/ml)を使用する。マトリックスを37℃;5%C02で2時間室温にてインキュベートする。細胞をインサート上に播く(30,000細胞/ウェル)。プレートを1〜2日でin vitro固定する(DIV)。]
[0077] インサートのコーティング
5ug/mLのPDL/PLL混合物(PBS中)を用いてインサートをコーティングする。引き続き、インサートをMilliQ水ですすぐ。
細胞固定化
インサートを捨て、ウェルを段階希釈のPFA(0.4、1.2、3及び4%)内で3〜5分間各希釈にて固定する。ウェルをすすぎ、段階希釈のPFA(0.4、1.2、3及び4%)内で3〜5分間各希釈にて貯蔵する。ウェルをすすぎ、数えるまでPBS内で貯蔵する。神経突起伸長を示し、下部チャンバーに移動した全ての細胞を移動性細胞として数える。]
[0078] (結果)
NRP類似体で処置したプレート内では、NRPのないプレート内で移動する細胞より多くの細胞が移動する。NRP類似体は神経細胞の移動を誘発することができ、かつNRP類似体を用いて、神経損傷又は神経疾患に付随する神経変性をそれぞれ治療することができる。]
[0079] 実施例10:損傷状態におけるNRP類似体媒介移動
後述するように、損傷状態の走触性移動アッセイにおいて、マウス神経幹細胞に及ぼす移動誘導性/化学誘引的活性についてNRP類似体を試験する。]
[0080] (方法)
アストロサイトの単層の生成
P1(出生後の日1)ウィスターラット又はスプラーグドーリーラットを頭切除術で犠牲にする。皮質半球を取り出し、1管当たり4mlのDMEM-1皮質を含有する個別管に収集する。組織を機械的に粉砕する。無菌ピペットを用いて細胞を培地に移し、100umの細胞ストレーナーを介してろ過して50mlの遠心管に入れる。各管をDMEMで50mlまで満たす。管を5分間350xgで22℃にて遠心分離する。細胞を40mlのDMEM+10%FBSに再懸濁させる。次に細胞を12-ウェルプレート+5nMのオカダ酸(ocadaic acid)(アポトーシス細胞死を誘発することで神経細胞を除去するため)中に播き、Boyden Chamber内で37℃/10%CO2にて24時間インキュベートする。1日後に培地+FBSを新鮮なDMEM+10%FBSと交換する。培養密度まで細胞の成長をモニターする(14〜18日)。]
[0081] 薬理学的及び機械的損傷
アストロサイトを活性化するため、薬理学的薬剤形質転換増殖因子β1(TGFβ1)と同時に単層の機械的引っ掻きを利用してアストロサイト単層の損傷の誘発を行う。10ng/mlのTGFβ1を24時間アストロサイト単層に投与する。さらに、メスでアストロサイト培養を機械的に傷つける(ウェルの底全体をひと掻き)。
予め標識した幹細胞の播種
未分化フルオレッセイン二酢酸標識した胚性マウス神経幹細胞(NSC)をポリ-D-リジン(PDL-5μg/ml)被覆インサート中に播く。Boydenチャンバーの下部区画が100fMのNRP類似体を受ける。]
[0082] 細胞固定化
インサートを捨て、段階希釈のPFA(0.4、1.2、3及び4%)で各希釈にて3〜5分間ウェルを固定する。ウェルをすすぎ、段階希釈のPFA(0.4、1.2、3及び4%)内で3〜5分間各希釈にて貯蔵する。ウェルをすすぎ、数えるまでPBS内で貯蔵する。神経突起伸長を示し、下部チャンバーに移動した全ての細胞を移動性細胞として数える。]
[0083] 分析
標識細胞の移動した幹細胞数を24時間後に蛍光ベースのコンピュータ処理画像システム(Discovery-1)で分析する。]
[0084] (結果)
NRP類似体は、ビヒクル処置コントロールより多くの幹細胞を刺激する。NRP類似体は、神経幹細胞の移動を誘発し、かつNRP類似体は、神経損傷又は神経疾患に付随する神経変性の治療するために役立ちうると結論づける。]
[0085] (参考文献)
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実施例

[0086] 全ての特許、特許出願及び他の刊行物は、あたかも個々に参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれたかのように、参照によって完全に本明細書に明白に組み込まれる。この出願に添付した配列表も参照によって完全に本明細書に組み込まれる。
当業者は、当該スキルと利用可能な知識、及びこの開示を考慮すれば、1つ以上の適切な合成化合物の開発において、過度の実験を試みる必要がないだろう。それらの製造及び使用のための全ての該化合物及び方法は、この発明の一部であるとみなされる。
この発明の化合物及び組成物は、商業の多くの局面、例えば医薬品の製造、処方、及び販売で産業上の用途を見出す。この発明の化合物及び組成物を使用する方法は、神経の医療分野で、特に、動物及びヒトの神経障害の治療のため、産業上の用途を見出す。]
权利要求:

請求項1
配列番号:4、 配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10及び配列番号:11から成る群より選択される配列を含む群から選択される神経再生ペプチド(NRP)化合物。
請求項2
前記NRP化合物が配列番号:4及び配列番号:5から成る群より選択される、請求項1のNRP化合物。
請求項3
前記NRP化合物が配列番号:6である、請求項1のNRP化合物。
請求項4
前記NRP化合物が配列番号:7である、請求項1のNRP化合物。
請求項5
前記NRP化合物が配列番号:8である、請求項1のNRP化合物。
請求項6
前記NRP化合物が配列番号:9、配列番号:10及び配列番号:11から成る群より選択される、請求項1のNRP化合物。
請求項7
請求項1のNRP化合物及び医薬的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物。
請求項8
動物における細胞の損失を特徴とする神経障害を治療する方法であって、前記動物に医薬的に、医薬的に有効な量の請求項1のNRP化合物又は請求項7の医薬組成物を投与する工程を含む方法。
請求項9
前記NRP化合物が配列番号:4又は配列番号:5の配列から成る、請求項8の方法。
請求項10
前記NRP化合物が配列番号:6の配列から成る、請求項8の方法。
請求項11
前記NRP化合物が配列番号:7の配列から成る、請求項8の方法。
請求項12
前記NRP化合物が配列番号:8の配列から成る、請求項8の方法。
請求項13
前記NRP化合物が配列番号:9、配列番号:10又は配列番号:11の配列から成る、請求項8の方法。
請求項14
前記障害が神経細胞の障害である、請求項8の方法。
請求項15
前記神経障害が、筋萎縮性側索硬化症、神経毒傷害、酸化傷害、多発性硬化症、末梢神経障害、低酸素/虚血、外傷性脳損傷、又は冠動脈バイパス移植手術である、請求項8〜14のいずれか1項の方法。
請求項16
前記神経障害が糖尿病性末梢神経障害である、請求項8〜14のいずれか1項の方法。
請求項17
合成NRP化合物であって、前記化合物が、βターン、ペプチドドメインAPGR、ペプチドドメインRAGGを修飾すること、又はグリシン残基のアスパラギンによる置換、L-アミノ酸のD-アミノ酸による置換、又は前記NRPの環化によってNRPから生成される、合成NRP化合物。
請求項18
神経変性を特徴とする神経障害を治療する方法であって、治療が必要な患者に、請求項17の合成NRP化合物を投与する工程を含む方法。
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